名刺を作る時にデザイナーの人は適当に用紙を選んだりしません。なぜかというと、名刺はプロダクト(製品)であり、用紙によって印象や仕上がりが大きく変わることを知っているからです。
つまり、ざっくり言うと「名刺は用紙選びが結構大切」ということです。
「せっかく名刺を自作するなら、安っぽいものじゃなくて、ちゃんとした名刺を作りたい」と思っても、名刺用紙には沢山の種類があるので、初心者の人だと、良し悪しや違いが分からないかと思います。
このページでは初心者でも実践できて、後々も応用可能な、本格的な名刺を自作するための名刺用紙の選び方と、その選び方を踏まえたオススメの名刺用紙10選を紹介していきます。
はじめて名刺の自作に挑戦する方はこちらの記事で完成までの手順を紹介してます。
名刺の自作で従うべき4つの手順+チープな名刺にならない作り方
「名刺を自作したいけど、どうやったらいいのかな?」「仕事でも使える名刺ができるのかな?」そんな疑問をお持ちの方のために、名刺を自作する手順と共に、品質に配慮した安っぽく(チープ)ならない作り方を紹介します。
続きを見る
プリンターに対応している名刺用紙を選びましょう
どんな名刺用紙を選ぶにしても、まず自分のプリンターに対応していることが最低条件です。対応してないと「ちゃんと印刷できない」「汚れる」「ズレる」「つまる」という事が起こります。
Amazonなどで適当に買って「印刷できなかった。星1つ!」みたいなレビューを書くのはヤメましょう。
これについては別の記事で詳しくまとめていますので、そちらを読んでみてください。
名刺用紙を買う時に必ず確認するべきポイント【4個だけ】
自分のプリンターで問題なく印刷できる名刺用紙かをチェックする4つのポイントを紹介します。名刺用紙は色んなメーカーのプリンターで使える汎用紙ではありますが、プリンターの給紙方式や印刷方式によっては全く使えない場合があります。
続きを見る
プリンターの印刷方式
まずプリンターの種類に合っているかを確認します。
レーザープリンターの場合
「レーザープリンター専用紙」または色々な用紙に対応した「兼用紙」を選びましょう。
インクジェットプリンターの場合
「インクジェット専用紙」または色々に対応した「兼用紙」を選びましょう。
インクジェット専用紙では「顔料インク」と「染料インク」で対応が分かれている場合もありますので、その時は仕様を確認しましょう。インクの定着(乾き)が悪い、写真など印刷面が多い名刺をつくりたいなら、インクジェット専用紙の方が良いかと思います。
プリンターの給紙方式
プリンターの前面に用紙をセットして印刷後も前面に出てくる物(前面給排紙方式)は、大半のものがコピー用紙などの薄い紙への印刷を主としています。名刺用紙など厚めの用紙の印刷には適していません。
用紙の紙厚
厚みのある用紙に対応していないプリンターもありますので、仕様を確認しましょう。用紙の厚みはパッケージに記載されてます。
印刷範囲
プリンターの印刷できる範囲に用紙の名刺部分が収まっているかです。プリント可能領域と用紙の上下左右の空きを照らし合わせてみてください。
本格的な名刺に仕上がる名刺用紙の選び方
主なメーカーは「A-one」「コクヨ」「エレコム」「PLUS」で、各メーカーで色々な名刺用紙があります。用紙を選ぶ時には、次に挙げる5つの条件に当てはまるかをチェックしましょう。
- クリアエッジ(クリアカット)タイプの用紙
- 厚口タイプの用紙
- 両面印刷対応の用紙
- フチまで印刷できるタイプの用紙
- 写真を多く使うなら光沢紙
この条件を挙げた理由を詳しく解説していきます。
「クリアエッジ(クリアカット)」タイプの用紙を選ぶ理由
よく見かけるのがミシン目カットのものですが、これだと切り離した名刺の周りがギザギザ(トゲトゲ?)になり、いかにも自作した名刺になってしまいます。クリアエッジ(クリアカット)は、元からカットされているので、印刷会社で作った名刺のようにフチがキレイに仕上がります。
元からカットされているといっても、A4サイズの台紙にシールで固定されているので、印刷の方法は他のタイプの用紙と変わりません。印刷した後に台紙から剥がして使用します。
裏面のシールで隠れる部分に印刷できないというデメリットはありますが、デザインの時に気をつけておけば大した問題でもありません。
「厚口」タイプの用紙を選ぶ理由
厚みには「標準」「厚口」「特厚口」など書かれていますが、同じタイプでもメーカーによって厚みは違います。しかし、どのメーカーでも「標準」はペラペラ感があるので「標準」はダメです。「厚口」など、仕上がりの厚みが0.23mm以上の名刺用紙を選びましょう。
ただし、クリアエッジの厚口タイプだと印刷時の厚みが0.3mm以上になります。レーザープリンターだと対応していない場合も出てきますので、その場合も「PLUS」の「キリッと両面」シリーズを選ぶのが無難です。
両面印刷対応の用紙を選ぶ理由
僕は名刺は表裏合わせて一つのアイテムだと思っているので、両面でデザインするのをオススメします。
シンプルに作りたいなら両面使った方がよりシンプルにできます。色々な情報を載せたい場合もゴチャゴチャしません。大は小を兼ねる的な事もあります。
フチまで印刷できるタイプの用紙を選ぶ理由
「フチまで印刷」じゃないタイプは名刺が隙間なく並んでいるため、デザインに制約があります。装飾なしで文字だけしか使わないという方はこのタイプでなくても問題ありません。
クリアエッジしか四方フチまで印刷できる用紙はありませんので、プリンターの給紙や厚みの関係でクリアエッジが使えない場合はあきらめましょう。クリアエッジでも裏面にはシールがあるので、両面とも四方端までの印刷はできません。
写真を多く使うなら光沢紙を選ぶ理由
インクジェットプリンターで写真をキレイに印刷したいなら光沢紙がベターです。注意点としては次の3つ。
- 普通の用紙と比べて値段が高いものが多い(価格は同じで枚数が少ないなど)。
- 光沢があるのは表面だけで、裏面は光沢がない(両面印刷のものでも)。
- 表と裏で紙質や印刷量が違うため、カール(曲がり)する。
用紙とインクのコスト、失敗によるロスを考えると、ネット印刷サービスを使う方が安いかと思います。その上、仕上がりも圧倒的に良いので、100枚以上などまとまった枚数が必要ならネット印刷サービスの検討をオススメします。
少々写真を入れるくらいなら、あえて光沢紙を選ぶ必要はないかと思います。
オススメの名刺用紙
沢山ある名刺用紙の中から、先ほど挙げた条件に当てはまるオススメの用紙を紹介します。
インクジェットプリンター用のオススメの名刺用紙は別記事で詳しくまとめましたので、そちらをご覧ください。
【自作名刺】インクジェットにオススメの名刺用紙《エーワン/コクヨ/プラス》
インクジェットプリンターで名刺を自作する場合、どの名刺用紙を使ったら良いかを手っ取り早く知りたい人向けに、オススメの名刺用紙を紹介します。用紙を他の種類やメーカーに変える場合についても合わせて解説します。
続きを見る
使い勝手ナンバー1 「エーワン マルチカード 名刺用紙 両面 クリアエッジ 厚口 フチまで印刷」
オールマイティな名刺用紙なので、初めて自作する人にはとりあえずこちらをオススメします。
紙厚: 0.23mm /印刷時 0.31mm
紙厚@インクジェット用:0.24mm /印刷時 0.32mm
印刷範囲: 上5mm・左右10mm(名刺の位置は各+2mm)
Amazonの商品リンクを掲載しておきますので、価格等はそちらから確認してみてください。エーワンの名刺用紙は種類が多いので「クリアエッジ」「厚口」タイプか確認しましょう。
アイボリー(きなり)の色味やフチまで印刷でないものは下の商品検索からどうぞ。
クリアエッジ以外なら「プラス 名刺用紙 いつものカード キリッと両面 特厚口」
給紙方式や厚みの関係でクリアエッジを使うのが難しい場合はこちらの用紙をオススメします。厚みがしっかりしているので、こっちの方が良いと思う人もいるかもしれません。
紙厚: 0.26mm
印刷範囲: 上11mm・左右14mm
同じタイプでアイボリーの色味もあります。詳しくは商品ページを確認してみてください。
- プラス 名刺用紙 いつものカード キリッと両面 特厚口
※色味と厚みは選択式になっています。 - プラス 名刺用紙 きれいなマットカード キリッと両面 特厚口/インクジェット専用紙
※色味と厚みは選択式になっています。
クリアエッジで一番の厚み「コクヨ インクジェット 名刺用紙 クリアカット 厚口」
先ほどのエーワンと同じ感じの名刺用紙です。インクジェット専用紙の手触りの悪さがあまりないので、フチまで印刷する必要がないならコチラの方がオススメです。
紙厚: 0.24mm /印刷時 0.33mm
印刷範囲: 上11mm・左右14mm
用紙の色味が「クールホワイト」「ナチュラルホワイト」「アイボリー」の3種類から選べます。
- コクヨ インクジェット 名刺用紙 クリアカット 厚口
※色味と厚みは選択式になっています。
デザインはメーカーで配布しているソフトを利用しましょう
名刺用紙メーカーの「A-one」「コクヨ」「エレコム」で、名刺作成ソフトを無料で配布しています(正確には名刺だけではありませんが)。
手軽にデザインや印刷ができるので、Wordより格段に便利です。
名刺作成・デザインのソフトについてはこちらで詳しく解説しています。
【自作名刺】無料の名刺作成ソフトを紹介【初心者にもカンタン】
初心者にもカンタン、無料で高機能な名刺デザインソフトを紹介します。名刺を自作したいけど「どんなソフトで作るのか分からない」「ソフトにお金を掛けたくない」「初心者でも簡単に作れるソフトはないか」とお悩みが全て解消します。
続きを見る
まとめ
最後に重要なポイントをまとめておきます。
用紙選びはまず、プリンターに対応していることが前提です。プリンターの印刷方式、給紙方式、紙厚、印刷可能範囲に合った用紙を選びましょう。
自作名刺を本格的な名刺に仕上げるためには、次の条件に当てはまる用紙を選びましょう。
- 厚口タイプの用紙
- クリアエッジ(クリアカット)タイプの用紙
- 両面印刷対応の用紙
- フチまで印刷できるタイプの用紙
- 写真を多く使うなら光沢紙
名刺のデザインは用紙のメーカーで無料配布しているソフトを使えば比較的カンタンにできます。
これらを参考に完成度の高い名刺を自作してみてください。