名刺が安く作れるのを理由に自作する人は多いわけですが、印刷の失敗で用紙をムダにしてしまっては、お得感が薄れてしまいます。また、印刷によって出来映えも随分変わるので、ちゃんと印刷するための具体的な方法や手順を知っておくのが大切です。
ここでは自作名刺を印刷する手順として「ミスを最小限にして、プリンターのポテンシャルを引き出す」具体的な方法を紹介していきます。
まず、大まかな流れは次の通り。
- プリンターのメンテナンス
- テスト印刷と印刷調整
- 本番印刷
大まかにはごく普通の内容かと思いますが、各パートの具体的な方法がポイントです。
詳しく解説します。
プリンターのメンテナンス
まずやるべきなのは、プリンターを正常に印刷できる状態にするメンテナンスです。ちょっとした書類では気にならない印刷不良も名刺だと目に付きやすいので、面倒がらずにやりましょう。インクジェットとレーザーでメンテナンス方法が異なります。
インクジェットプリンターのメンテナンス方法
インクジェットプリンターのメンテナンスは次のような作業を行います。
①ノズルチェック | インクノズルの詰まりを(パターンを印刷して)確認する |
---|---|
②ヘッドクリーニング | ノズルの詰まりを解消する |
③ヘッド位置調整 | 線のズレや色のズレ(輪郭のぼやけ)を解消する |
④給紙ローラーの清掃 | 用紙を送っているローラーを清掃する |
まずは①と②を繰り返してノズルの詰まりを完全に解消します。その後でヘッド位置調整をしてください。給紙ローラーの汚れ(紙粉の付着)が原因で印刷位置のズレが起きることがあるので、汚れている場合は清掃しましょう。
ノズルの詰まりが何度クリーニングしても治らない場合は、ヘッドが損傷しているかもしれません。その場合は、ヘッドの交換や修理が必要になるので、メーカーのサポートに相談してみましょう。
レーザープリンターのメンテナンス方法
レーザープリンターのメンテナンスは次のような作業を行います。
①クリーニング | プリンター内部を自動・手動でクリーニングする |
---|---|
②色ずれ補正 | 色のズレ(輪郭のぼやけ)を解消する |
③濃度補正・色補正 | 印刷の濃度の薄さを解消する |
基本的には①〜③の内、本体操作パネルやパソコンからできる作業をしておく程度で問題ありません。各作業方法はプリンターのマニュアル等を参考に行いましょう。
改善しない印刷不良は、トラブルシューティングを参考に症状に合わせて対処するか、メーカーのサポートに相談してみましょう。
テスト印刷と印刷調整
名刺用紙についているテストプリント用紙は厚みも紙質を違うため、正確なテストはできません(左右の印刷位置が確認できるだけ)。実際の用紙でテストしてみて、調整するのが大切です。もったいないと思うかもしれませんが、失敗すればそれ以上の用紙がゴミ箱行きになります。
テスト印刷のポイント次の4つです。
- 名刺1枚ずつを配置してテストする
- 印刷設定を調整する
- 裏面もテストする
- 印刷位置を調整する
名刺1枚ずつを配置してテストする
シート全体に名刺を配置するのは無駄なので、名刺1枚を1回ごとに配置をタテに移動させながらテストを繰り返していきます。もちろん、途中で切り離してはいけません。
インクジェットの場合はインクが乾いてから次の印刷をしましょう。乾く前だとプリンター内部が汚れしまい、用紙が汚れる原因になります。レーザーの場合は用紙が大きくカールしているなら、ある程度まっすぐにしてから次の印刷をしましょう。
印刷設定を調整する
印刷設定もインクジェットとレーザーで方法が異なります。
インクジェットプリンターの場合
最初は推奨の印刷設定(名刺用紙のパッケージ等に記載)で印刷します。分からなければ初期設定のままで構いません。
印刷したものが滲むまたは薄い場合は、「用紙種類」と「印刷品質」の設定を変更して、再度テスト印刷を行います。次の表のようなの組み合わせで段階的にテストしてみましょう。
多い ← インクの量 → 少ない | |||||
用紙種類 | 写真用紙 | ファイン紙 | ファイン紙 | 普通紙 | 普通紙 |
---|---|---|---|---|---|
印刷品質 | きれい | きれい | 標準 | きれい | 標準 |
思った色味になっていない場合は色補正(調整)をします。印刷する内容に合わせてモードを選ぶような簡易的なものがあるので、それで試してみましょう。
細かく調整したいなら手動設定ですが、結構ややこしいので、分かりそうなら試してみるのも良いかもしれません。
レーザープリンターの場合
レーザーの場合は推奨の印刷設定はありませんが、用紙設定は必要です。本体操作パネルなどから手差しトレイの用紙の種類や用紙の厚みを設定します。
「上質紙」の名刺用紙なら種類は「普通紙」で問題ないかと思います。厚みについてはメーカーによって表現が違うため、マニュアルを参考に用紙の厚み(数値)に対応したものを選びましょう。
その他の印刷設定はメーカーや機種で全く違うので、ここで説明するのは難しいですが、印刷解像度(〜dpi)が設定できるなら一番大きい解像度にしておきましょう。
裏面もテストする
両面を使った名刺なら裏面も忘れずにテストしましょう。
インクジェット専用紙は表と裏で印刷品質が異なる場合があります。印刷面積が多い方を表面に印刷するのが基本ですが、テストしてみて、どちらを表面・裏面にするか決めておきましょう。
シートに名刺が貼り付いているタイプ(クリアエッジ等)の名刺用紙は、印刷できる領域が表と裏で違うので、シール部分に掛からずに印刷できるかチェックしましょう。
印刷位置を調整する
印刷位置については印刷設定などのテストと一緒に調整します。1ミリ程度のズレだとパッと見では分からないので、定規で測って、デザインの座標と照らし合わせて確認しましょう。
名刺作成ソフト(ラベル屋さん等)なら、印刷画面で位置調整ができます。
本番印刷
本番印刷の直前には、もう一度プリンターのメンテナンスを行います。正常に印刷できることを確認したら、まず1シートの片面だけ印刷して、最終チェックを行います。
インクジェットで、下に行くつれて徐々にズレている場合は用紙送りが上手くできていません。位置調整では対応できないので、メンテナンスをしていてその状態なら名刺用紙を変えるしかありません。
インクジェット専用紙を使うと改善する場合もあります。
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最終チェックができたら必要な分を印刷していきます。プリンターによって次のことに注意して印刷しましょう。
インクジェットプリンターの場合
- インクのこすれ汚れに注意して、乾きが悪い場合は1枚ずつセットして印刷する。
- 両面印刷するなら、しっかりインクが乾かしてから裏面を印刷する。
- しっかりインクが乾かしてから切り離し・取り外しをする。
レーザープリンターの場合
- 両面印刷するなら、カール(曲がり)を戻してセットする
- 切り離し・取り外しする前には、しっかりカールを戻す
まとめ
最後にまとめておきます。
自作名刺の印刷で「ミスを最小限にして、プリンターのポテンシャルを引き出す」には、次の流れに沿って行ないましょう。
- プリンターのメンテナンス
- テスト印刷と印刷調整
- 本番印刷
まずは、プリンターを正常に印刷できる状態にするメンテナンスを行いましょう。ちょっとした印刷不良も名刺だと目に付きやすいです。
そして、名刺用紙についているテストプリント用紙では正確なテストはできないので、実際の用紙でテストしてみて、調整するのが大切です。ポイント次の4つです。
- 名刺1枚ずつを配置してテストする
- 印刷設定を調整する
- 裏面もテストする
- 印刷位置を調整する
本番印刷の際は、直前にメンテナンスを行い、最終チェックをしてから必要枚数を印刷しましょう。インクジェットならインクの乾き具合に、レーザーなら用紙のカール(曲がり)に注意しましょう。
割と細かく書いているので一見面倒に感じるかと思いますが、覚えてしまえば何ということのない作業です。名刺に余分な費用を使わないためにも、正しい方法・手順で印刷をしましょう。